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コラム

2014.10.22 Wed

会社に求められる
正しい労務管理とは?

~長時間労働問題の現状~

長時間労働問題の現状 現在、長時間労働を巡って問題となる事例を多く見聞きします。企業側の残業代未払いや、名ばかり管理職問題は大きなニュースになっています。以前より日本では、長時間労働を評価する風潮が強くあり、また休暇を取りづらい会社も多く、慢性的に長時間労働を助長する職場環境にあるといえます。
 近年、厚生労働省では有給休暇消化の義務化や、ホワイトカラー・エグゼンプションの導入など、長時間労働の是正を目的とした、労働基準法の改正の検討を進めています。また、メンタルヘルス対策の充実・強化等を目的として、ストレスチェックの義務化も、法案の可決・成立をみました。

~長時間労働是正のきっかけとなった最高裁の判決~

 そういった動きの大きなきっかけとして、2000年に最高裁で初めて「長時間労働と従業員のうつ病による自死の因果関係」が認められた事件がありました。
 この事件の経緯としては、1990年4月に入社した男性が、入社以降、深夜の帰宅が続き、1年4か月程経過した1991年8月頃には「自信がない、眠れない」と上司に訴えるようになったほか、異常行動もみられるようになり、1991年8月27日に自死に至ったというものです。争点はいくつかありましたが、最終的には、会社が遺族に対して約1億6,800万円を支払うとの内容で和解が成立しました。
 命に値段はつけられませんが、会社としては、費用としても大きな代償を払い、いつまでも会社名が残る結果となりました。

~働く側の要望と会社がすべきこと~

働く側の要望と会社がすべきこと ある新聞の調査によれば、労働者側からみた「働く上で重要だと思うこと」の第1位は「休暇の取りやすさ」、第2位が「労働時間の適性さ」という結果でした。先の判例もありますが、昨今はブラック企業ランキングなどがネット上で話題にもなり、ランキングに入っている企業への就職を恐れる風潮もあります。
 長時間労働は、メンタルヘルス不調の問題とも関係が深いですが、メンタルヘルス対策は実際には、一にも二にも「労働時間管理」といえます。会社には「安全配慮義務」があり、たとえ管理職であっても例外ではなく、健康を守ることが重要です。
 また、有給休暇を巡る労務トラブルは非常に多く、退職時には特に気をつけるべき問題です。長時間労働の対策を考えるとともに、社員には休暇を上手に取ってもらい、働きやすい環境を整えていくことが大事です。

~残業削減と業務効率化の方法、そして業績向上を目指して~

 しかしながら、必要な仕事はやってもらわなければ会社としては困ります。ただ「労働時間を減らせ」といっても、簡単には解決しません。長時間労働が発生することはどこかに問題があると考える必要があります。その問題の多くは、上長が部下の仕事を把握していない、または部下本人が理解していないといったところに要因があるケースが多くあります。
 そこでまず重要なのは、業務の洗い出しをすることです。業務の優先順位や、無駄な業務を見極め、その業務が必要かどうかの判断、上長が部下と一緒に判断することも大切です。また、その日の予定と結果をしっかり記録、報告することも有効で、業務状況を把握して残業を防ぐことが可能です。
 また、もう一つ重要なことは、残業可否の判断は上長が行うといった仕組み作りを行うことです。残業は、会社が命令するもの、あるいは許可制であるということを、ルールにしっかりと打ち出し、申請があった場合でも業務の進捗状況によっては許可しないこともあり得ます。
 なお、このような取組を実施する際の注意点としては、会社としてしっかりと取り組みの主旨を従業員へ向けて打ち出さなければなりません。残業代の占めるウェイトが給与の中で大きい場合は、業務の効率化は「給料が減る」ということなので、業務の効率化を前向きに考えられません。そういったことを防ぐためにも、給与体系の変更も合わせて検討し、従業員が目的や目標をもって健全に働けるよう、会社が伸びていくよう、協力して進めることが肝要です。

~労働時間管理の取組~

労働時間管理の取組 また上記に挙げたような社内制度の見直し以外に、就業時間の正確な管理も重要です。一部の企業の中には、部署単位の判断でタイムカードを従業員に切らせてから働かせていることも少なくありません。また残業は禁止されているものの仕事が終わらないために、従業員が自主的にタイムカードを切って残業を続ける場合もあります。そういった現場の状況を経営層が把握しておらず、労働基準局の監査時に発覚し、業務改善勧告を受けるケースも多くあります。再三の勧告が行われたにもかかわらず改善せず、悪質とみなされ逮捕に至った例もあります。
 そのような課題を解決するために、ICカードや生体認証などによる記録を使った勤怠管理システムや、入退室管理、ワークフローなど他システムの連携なども進んできています。しかし、勤怠管理システムや入退室管理システムはコストがかかりますので、導入には二の足を踏んでいる企業が多いのも事実です。
 コストをかけずに勤怠状況を把握する、すぐに取り組める方法として、PC操作ログの活用が挙げられます。多くの企業が監査対策としてログを取得・管理しています。ただ、一般的には、監査時に証跡としてログを提出するために蓄積している場合が多く、あまり日常的には活用されていません。そういったログを、蓄積するだけではなく、2週間・1ヶ月ごとなど定期的に分析することで、従業員の残業実態を正確に把握することが可能になるのではないでしょうか。
 ログを蓄積するだけでなく勤怠の実態を把握するために活用することが、労務管理を正確に行うための糸口となるかも知れません。

[ライター]

下中 理栄子
アロドラ人事労務サポートオフィス代表。複数の会社で総務人事・経理を経験後、社会保険労務士として独立。オフィスの柱は「はじめての採用」と「労務トラブル予防」。特技は給料計算、趣味は会計入力。

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